就労継続支援A型事業所に関する2024年問題について、主なポイントを以下にまとめます。
2024年問題
1. 報酬体系の見直し
- 2024年には法制度の改正により、事業所運営に対する規制が強化されたり、報酬体系の見直しがあったりし、事業所によっては厳しい運営を強いられるところが出てきています。
2.利用者へのしわ寄せ
- 離職:上記理由から、A型事業所が廃止したり、B型事業所へ移行したりすることで、これまで利用していた障害のある方の雇用が終了する事例がみられています。つがる地区では、ハローワーク管轄で弘前が5事業所、五所川原事業所が3事業所が廃止となり、推計でも300名以上の利用者が離職したと考えられます。
3.2024年問題に陥った要因
- 一週間の労働時間:事業収支が黒字の事業所では、30時間以上が38.9%、20~29時間が50%となっているのに対し、赤字の事業所では30時間以上が17.4%、20~29時間が67.6%となっており、報酬単価設定で「最低でも一日4時間の労働を作ろうとしているものの、それ以上の時間を働いてもらえるだけの仕事量がない」という実態を表しています。これは事業所の自助努力により仕事を見つけられるかどうかといった側面もありますし、企業側が仕事を事業所に委託することができるかどうかといった側面もあります。
- 生産活動の内容による差:事業収支が黒字の事業所では、自主製品としての作業はお弁当作りやお惣菜づくりなど、安定した就労時間を確保できている事業所が多いのが特徴です。一方で、事業収支が赤字の事業所では、農福連携などを採用していますが、早朝対応や夏の暑い日には就労時間を減らすなど、就労時間が短くなりがちな業態を採用している傾向もあります。
これらの問題をA型事業所のみで解決するのは困難だと思われます。行政には再雇用に関する支援を、事業所にはもっと企業と連携して生産活動の収入が上回る工夫をしてもらい、企業にはもっと事業所に仕事を依頼するなどの工夫をしてもらう必要があります。
その他の課題
1. 財政問題
- 運営資金の不足:就労継続支援A型事業所では資金繰りに苦しんでいる事業所もあります。2024年には、補助金や助成金の削減があり、経営がさらに厳しくなる可能性があります。
- 最低賃金の引き上げ:最低賃金の引き上げが毎年上昇する中、事業所としても障害のある方への賃金をアップさせる必要がありますが、生産活動による売り上げの増大や生産性の向上がない場合、その原資は手持ちからの持ち出しとなり、財政を圧迫する原因となっています。これが転じて障がいのある方への賃金支払いが困難になるケースも出てきています。
2. 人材確保の難しさ
- 支援スタッフの不足:どの業界でも同じことが言えますが、人材不足の影響を受けています。専門知識を持ったスタッフの確保が難しくなると、支援の質が低下する懸念があります。
- 離職率の高さ:過酷な労働条件や低賃金により、支援スタッフの離職率が高くなっています。これにより、安定した支援が難しくなる問題があります。
3. 利用者の課題
- 利用者の高齢化:利用者の高齢化が進む中で、介護的な支援が必要になるケースが増加しています。これにより、支援内容が多様化し、追加のリソースが必要となります。